3000人を看取った医師が語る「自宅での看取り」の意義と選択肢
親が闘病の末に「自宅に帰りたい」と希望することがあります。その気持ちを尊重したいとは思うものの、在宅での看取りには多くの不安や躊躇がつきまとうことがあります。今回は、医療法人ゆうの森たんぽぽクリニックの永井康徳医師が提唱する「自宅で最期を迎える」という選択肢について考えてみましょう。
自宅で亡くなる選択肢についての現状
厚生労働省の「人口動態調査」によれば、1951年には約90%の人が自宅で亡くなっていましたが、2023年には病院で亡くなる割合が65.7%に達しました。施設での死も15.5%を占めており、自宅で亡くなる人は全体のわずか17%に過ぎません。このデータからも、現代における「自宅で死ぬ」ことがどれほど少なくなっているかがわかります。
医師が伝える「自宅での看取り」の実際
永井医師は、3000人以上の患者を看取ってきた経験を活かし、「自宅で看取ることは特別なことではない」と述べています。では、具体的にどのようにして親の望みを叶えられるのでしょうか。永井医師は、在宅療養を始める前に、家族に「どんな風に看取ることができるか」を説明します。
看取りの心構えと準備
自宅での看取りには心構えが必要です。永井医師は、看取りに関して家族が知っておくべき情報をまとめた冊子『家で看取ると云うこと』を作成しました。この冊子では、どのような段階を踏むのか、亡くなる前にどのように対応すればよいのかが詳述されています。医師の説明をその場で理解するのは容易ではないため、後から読み返せる資料は非常に重要です。
自宅での看取りが万人に適しているわけではない
自宅で亡くなることが全ての人にとって最適な選択肢であるとは限りません。永井医師は、「大事なのは、患者本人が納得できる最期を迎えられることだ」と強調しています。患者さんの意向を尊重し、家族がその思いをサポートすることが重要です。
- 自宅での最期が理想の場合も、準備には相応の心構えが必要
- 患者本人の意識と意思を尊重することが重要
- 家族もやりたいことがある中での看取りにはバランスが求められる
さらに、永井医師は実際に病院から自宅に戻り、わずか1時間後に亡くなった方の例を挙げます。この方は、自分の意思で帰宅し、家族もその意向を尊重してサポートしました。家族はその選択が大正解であったことを喜んでいました。このように、命と向き合い、希望する環境で安らかに最期を迎えることができるのです。
留意点と医療のサポート
自宅での看取りを選んだ場合、医療はどのようにサポートされるのでしょうか。在宅医療チームや訪問看護師が患者とその家族を支えます。医療が必要なタイミングやその手続きについては、事前に詳しく相談しておくと良いでしょう。医療体制が整っていない中での看取りには、多くの課題がありますが、これらをしっかりとクリアすることで患者の敬意と希望を大切にすることができます。
最後に、看取りに対する理解を深める
親の最期をどう迎えるかを考えることは、時に難しい選択を伴います。しかしながら、永井医師の経験から学ぶことができるように、理解を深めることで「自宅での看取り」に対する不安を軽減し、結果として家族の絆をより深めていくことができるでしょう。それが、すべての人にとって「後悔しないお別れ」となるための第一歩です。